妻が激変。夫婦で内観研修に行ってきました。

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3月末に1週間、夫婦で内観研修に行ってまいりました。

その体験記です。

なぜそんなプライベートのことをブログに書くのか疑問に思われる方もいらっしゃるかもしれませんが

内観法、内観療法というのは
不登校の子どもにもある程度効果があるとされています。

20年くらいこの仕事に携わっておりますが最近特に不登校のお子様が増えているのを実感しておりまして

保護者の方々に参考になればということで今回記録させていただきました。

まずは内観って何なの? というところから

内観、内観療法とは

 

内観療法とは、本来修養法として開発された吉本伊信の内観法を医療、臨床心理的目的のために応用する心理療法のこと。
1960年代から精神医療現場に導入されるようになった。
1978年には日本内観学会が発足している。
また、国際的な評価も得られており、2003年には国際内観療法学会も設立され現在に至っている。 ウィキペディア

医療現場のほか
少年院・刑務所での矯正教育
学校現場
会社での研修
スポーツ選手のメンタルトレーニング

などさまざまな場で活用されています。
有名なところでは野球の侍JAPANの小久保裕紀監督も体験されているようです。

今回の研修では小学生の子も
1人で来ていました。

最終日の座談会で

「お母さんが内観に行ってすごく優しくなったから、そんな風に優しくなれるんだったら行こうかなと思って来ました」

と言っていました。

1日15時間過去を想起し、相手から見た自分を見続ける

・あいつにあんなこと言われた
・あんなことをされた
・こんなにいろいろしてあげたのに
・だってあっちが悪いんだから仕方ない
・〇〇してもらえなかった

などなど

我々はよく自己都合、自分視点で相手を見ていないでしょうか。それはいつもしていることです。

内観ではまったく逆に
「相手から見た自分」を見ていきます。

内観で具体的に行うこと



兄弟
祖父祖母
友人
会社の同僚・・

と過去の対人関係における

「してもらったこと」
「して返したこと」
「迷惑をかけたこと」

の3つについて
7日間 朝6時半~夜21時半まで15時間
スマホも預けて
半畳の屏風の中で座って
ひたすら思い出します。

記憶想起に集中するため
内観者同士の会話も禁止。

7日間のあいだ、屏風から出られるのはトイレと入浴時のみ。

食事も屏風の中まで
運んでいただいて
その中で食べます。

年代を区切り
たとえば
「0~小学校入学前まで
母に対して
自分が
していただいたこと
お返ししたこと
迷惑をおかけしたこと」

を2時間ほどかけて思い出し
面接者の先生に
思い出した結果を報告します。

面接時間は3~5分で
1.5~2時間おきに8回なので
1日で話をしている時間は本当に少なくほぼ丸一日沈思黙考という感じです。

面接の際
アドバイスは特にありません。
(質問すれば答えていただけます)

次は
「小1~小3までに
母に対して
自分が
していただいたこと
お返ししたこと
迷惑をおかけしたこと」

を思い出す
というように

母と自分の関係を中学時代、高校時代、大学時代、社会人時代・・と
現在の自分の年齢まで
調べ終わったら

次は父に対して
兄弟姉妹に対して
友人に対して・・

などを対象に思い出すことを
1週間続けます。

その他
「嘘と盗み」
「養育費の計算」

というテーマで
調べたりもします。

思い出す対象者やテーマについては人それぞれです。母や父に対する内観は基本として設定されているようです。

なかなか思い出せない

1日15時間と
なかなかハードな体験です。

面接の先生以外とは
誰とも話せず
屏風の外にも出られず
テレビもスマホも1週間見られない

その状況で
過去を思い出そうとします。

邪魔するものもいないし
たっぷり時間があるんだから
簡単に思い出せるかというと
そう簡単にはいきません。

思い出そうとしても
「0才から5才・・・・。なかなか思い出せない・・・。出てこない」

思い出せないどころか

「あー ひざが痛い」
「寒いな」
「隣りの人の面接内容が気になる」
「背中もバキバキだ」
「メシはまだかー」

雑念がいろいろ湧いてきます。

そんな中でなんとか思い出そうと努力していると
断片的にイメージが湧いてきました。

母に対する内観 高校1~3年生

1日目 2日目 母
2日目 3日目 父
3日目 4日目 昔の上司
5日目      妻 ・嘘と盗み
6日目     嘘と盗み
7日目     嘘と盗み

私の場合は上記のような経過で過去の自分を思い出していきました。

母に対する内観を一例として挙げます。

「していただいたこと」

・高1から予備校に通わせてくれた
・毎日のように弁当を作ってくれた
・朝食、夕食を作ってくれた
 365日×3食×3年=3285回(少なく見積もっても3年間で3000    回以上は食事を作ってもらっている) 
・いつも家にいてくれた
・私立高校に通わせてくれた
・私立文系大を目指すのが合っているとアドバイスをくれた
・阪神大震災の際、揺れがおさまって真っ先に部屋まで来てくれた
・大学受験、8個受験させてくれた 
・東京の大学も受験させてくれた
・東京受験での新幹線代、ホテル代を出してくれた
・予備校に通う際、科目はいくらでも受けていいと言ってくれた
・初めて海外に連れて行ってくれた
・「この教材買いたい」と言うと何も言わずにお金を渡してくれた

👆
していただいたことに金銭的な内容が多いです。
心の交流のような思い出がありませんね。
高校2年生くらいから、わたしの家庭は父と母の関係が荒れに荒れていました。
しょっちゅう父と母の修羅場を見ていたのです。

当時のわたしにとって母はギャーギャーうるさい人、父といつもケンカしているというイメージで冷たい目線で母を見ていました。

高校時代から24才くらいまで母との会話はかなり少なかったのです。大学時代は会話はさらに減りました。(今はいいおばあちゃんです。とても仲もいいです!)

「お返ししたこと」

・なし

👆
お返ししたことが「なし」となっています。
当時たとえばこんなことがありました。

阪神大震災で水道などがストップし、トイレの水も流れない状況になりました。歩いて10分のところに給水車が来ていたので父、弟、わたしの3人はバケツを持って自宅⇔給水車を何往復もしました。

これは「母のためになっている!お返ししたことにあたるかな」と思いきや、自分も水が必要でしている行動ですから母にお返ししたことではありません。

また「模試でいい成績をとって母が喜んでくれた」ということもありました。しかしこれも母のためを思って頑張ったわけではないので母にお返ししたことではありません。

ご迷惑をおかけしたこと

・高1のころ、予備校を半年くらいさぼって大阪をうろついていた(予備校は神戸なのに正反対の大阪に行っていました。)
・3者面談をすっぽかした
・大学受験直前の冬期講習もさぼった
・財布からお金を抜き取った
・夜中3時ころまで起きてTVを見ていることがあった
・母VS父のケンカを仲裁するでもなく、母に味方するでもなく、「勝手にやってろ」という感じで傍観していた。(これは父が原因の修羅場でした。母が悪いわけではなく、母は怒って当然のケンカです。その母の味方でなかったということです。)

👆
なかなかひどい親不孝な息子です。

このようなことを想起していきます。

人生の伏線回収
記憶の点と点がつながり、自分の思い違いに気づく

こんなことがありました。

①母は結婚してからは専業主婦で、特に正社員で働いたり、アルバイトなどしていません。
気ままに暮らしている人というイメージでした。宝塚歌劇が大好きでよく観劇に行っていたのですが
「専業主婦で働いてないのに宝塚ばっかり見て金がもったいない」とわたしが言ったのです。

「あんたそんなこと思ってるの!」
と叱られましたが
傷つけたと思います。

 

⓶別の機会に一度母がアルバイトに行ったことがありました。

しかし、「耳がよくないから、あかんかったわ。」と言ってすぐにそのアルバイトはやめていました。

それをふと思い出しました。「ああ、ほんの少しだけ働いてたな」と。

③「お母さんは若いころから片方耳がよく聞こえないんだ」と父が言っていたことを思い出しました。

👆この記憶は高校時代ではなかったかもしれません。
いつの記憶なのか覚えていません。

④高3の頃、母は片方の耳が突発性難聴になりました。それ以来ずっと耳鳴りがしています。

①②③④はそれぞれ、別々の時期の記憶です。
しかし、その4つの記憶の点が一本の線につながり

母は難聴になるくらい耳が悪かったのだ。働きたくても、働けなかったのだ。難聴になるくらいのストレスを抱えていたのだ。

ということに気付きました。

その母にわたしは

「専業主婦で働いてないのに宝塚ばっかり見て金がもったいない」

と言っていたのです。
その他にも上に書いたようにたくさんの迷惑をかけてきました。

と同時に

「していただいたこと」で見ていったように、そんな迷惑のかけどおしだった自分にさえ愛情を注いでもらっていた

ということに気づきました。

母親像・自己像の変化

内観法は心理療法、少年院などでの矯正教育として活用されているものです。

わたしは自分自身を

今では母とは仲も良く、とても良い関係で

心の病を抱えているわけでもなく

少年院や刑務所にお世話になることもなく

普通に生活している人間だ

 

と思っているので

「母との関係を思い出しても大して気づくことなどないだろう」

と考えていましたが、大間違いでした。

他にもこんなことを思い出しました。

 

父と母の仲違いが激しい当時
母は私からも冷たい扱いを受けていたわけですが
そんななかで

「小さな幸せ見つけましょう

 小さな幸せ見つけましょう」

 

と独り言を言いながら母が食器洗いをしていた記憶が急に蘇りました。

自分に言い聞かせるように

「小さな幸せ見つけましょう

 小さな幸せ見つけましょう

 小さな幸せ

 小さな幸せ」

と呟きながら母は食器洗いをしていました。

辛い時期にそうやって自分で自分を励ましながら
生活していた母の気持ちが20年以上経って記憶をさかのぼることでようやく理解できました。

医学的にも集中内観の効果の一つとして
「共感力、コミュニケーション力が高まる」と言われているのですが、このように相手の立場から自分を見つめることで、相手の気持ちが理解できるようになるということなのだと思います。

 

また母を弱い存在と認識していましたが、他にもいろいろ思い出すととんでもなく強い人間だったと認識を新たにしました。

妻が激変した。妻の内観

妻は結構ユーモアがあり、人からは優しいと言われることの多い性格なのですが

家庭環境の事情で、実家の家族との関係がうまく行かず
実家の家族に対して怒り、憎しみに近い感情を30年以上抱えておりました。

 

実家から電話がかかってくると
怒りが湧いてきて一日イライラして楽しく過ごせず、夜眠れないときもあるくらいで、実家とは距離を置いていました。

 

その妻が内観が終わった翌日、自ら

「親に会いたい」

と言い出し、直接家族へ感謝の気持ちを伝えにいったのです。

 

驚きました。

妻は

「これまでは迷惑をかけられたことにしか目がいかなかったのが
 
 内観をするにつれて深い愛情を感じられた。

 自分が迷惑をかけられた辛い記憶と
 
 してもらったことを比べたときに
 
 今までこだわっていた傷ついた過去を大きく上回る深い愛情を感じることができた。

 だから辛かったことも許せるようになった」

と辛い過去の記憶から解放されたのでした。

妻も思い出して気づいたことはいろいろあるそうですが
聞いてて面白かった話です👇

「お父さんはいつもリビングにいる。うっとおしい」と
子どものころから社会人まで思っていたそうです。

妻の父は毎日リビングに布団を敷いて寝ていたそうなのですが

・ある時期に妻と妻の双子の兄弟にそれぞれ一人部屋を作ったために寝床が妻の父のリビングになっていた。

・自分たち兄妹のために毎日リビングで寝ていた父を「うっとおしい」と感じていた。

ということに気づいたそうです。

 

「お父さんがいつもリビングにいてうっとおしい」
「その他にもいろいろ自分が迷惑をかけられた」

という思いにとらわれてずっとそのことに気づかなかった

ということでした。

言われてみると簡単すぎることなのですが
自分中心視点の思い込みで物事が正しく見られなくなる

良い例だと思います。

最後に

体験談を読むと
感謝とか反省とかいう言葉が
沢山出てきますが

そういう一定の価値観を押し付けられるようなものではありません。
わたしが面接の先生と交わした会話は5日目に

 

「何か質問ございますか?」

「妻はどうしてますか?」

「内容はお伝えできませんが、頑張っていらっしゃいます」

というもののみでした。

あくまで自分で記憶をたどって
結果的に物の見方、他者の見方が変わる
場合によっては行動変容が起こる、というもののようです。

 

集中内観の体験者には、人格の成長ともいえる共通した傾向が見られると言われます。

具体的な特徴として

・親からの自立が促進される
・コミュニケーション能力が向上する
・物事を内省的に受け止める能力が身につく
・信念を貫き通す精神力が身につく
・集中力や持久力が身につく
・健康でのびやかな心を取り戻すことができる
・敏感さがなくなる

はじめての内観療法 笹野友寿より引用

ということが言われます。

お子さんやお母さん、お父さんの体験談などもネットで探すと出てきます。内観体験者の声  奈良こころの相談室

 

不登校の子どもにも効果を上げているようです。

自分が多くの愛情を受けて育っていることが頭ではなく心、体で分かるという意味でも

「自分の勘違いだった。みんなもしかして優しいのかも」

と人間観が変わるという意味でも

不登校の子どもにも効果があるというのも個人的には十分納得がいきます。

わたしは昔の上司に対する内観を行いまして
以前はもやもやがあったのですが

「上司がわたしの幸せを心から願ってくれていた」ということがよく分かりました。

「今まで何を勘違いしてたんだろう??」と
笑えてきて一人で研修所の寝床でウキウキしていました。

昔の上司に対するわだかまりは
一切なくなりました。

する前はこんなことが起こるとは思っておりませんで
予想外の驚きでした。

考えて感謝や反省にたどりつくのではなく
急にハッと体で分かるという感じです。

別の研修所の所長はこれを「記憶を掘り起こし、愛情を再体験することによって認知のゆがみが修正される」とおっしゃっていました。

内観は自分が愛されてきたことの証拠集めをするということで
「愛情の落穂拾い」
と言われます。

わたしが記憶をたどる中で特に印象深く思い出されたのは、幸せそうにこちらを見る両親の笑顔でした。

あの笑顔を思い出すと

 

「あんなに幸せそうな笑顔は

愛されていたからこそ見せてくれた笑顔だ。

自分はこんなにも愛されてきたのだ」

 

と自分の中に太い根っこができたような、勇気が湧いてくるような気がします。

長くなってしまいました。

正直いうとまだ書き足りないのですが
以上が内観研修の体験記録です。

もし今後5年後、10年後、15年後に
お子様が人生で行き詰まるようなことがあった時に
こちらの内観を教えてあげてください。

もしこちらのブログ記事読まれまして
「内観について、もう少し知りたい」と
気になった保護者のかたがいらっしゃいましたら、ご連絡ください。

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